イナガキ ユウイチ   INAGAKI Yuichi
  稲垣 悠一
   所属   専修大学専門職大学院  法務研究科
   職種   教授
発表年月日 2015/05/23
発表テーマ 欠陥製品に関する刑事過失責任と不作為犯論
会議名 日本刑法学会第93回大会
主催者 日本刑法学会
学会区分 全国学会
開催地名 専修大学
概要 概要
近時、製造物過失事例を中心に、不作為態様の過失責任を追及する事案が増加している。学説では、不作為態様の過失を「過失不真正不作為犯」として論じる見解が有力であるが、判例実務上は、過失犯の理論の枠組みで検討されている。故意不作為犯の理論では、作為と不作為との因果構造、および規範構造の相違から、作為と不作為との「等置問題」があり、故意・過失の先行行為や排他的支配により、その解決を図ろうとする見解が有力である。しかし、「不作為的過失」の場合、作為との等置は必ずしも要しないように思われる。過失犯の規範構造上、むしろ不作為的な関与は予定されており、「作為との等置」を前提とした理論構成は不要なのではないか。このような観点から、本報告では、「不作為的過失犯」につき、その因果構造および規範構造を示しつつ、作為と不作為とを等置する不作為犯の理論ではなく、「過失犯の理論」で理論構成することを試みるものである。