イシカネ ヒロシ
ISHIKANE Hiroshi
石金 浩史 所属 専修大学 人間科学部 専修大学大学院 文学研究科 職種 教授 |
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発表年月日 | 2022/11/26 |
発表テーマ | 光電変換色素薄膜型人工網膜 (OUReP) 治験に向けた非臨床有効性評価試験 |
会議名 | 第15回 Retina Research Meeting (RRM) |
学会区分 | 全国学会 |
発表形式 | 口頭(一般) |
単独共同区分 | 共同 |
開催地名 | 東京 千代田区 kitte |
開催期間 | 2022/11/26~2022/11/26 |
発表者・共同発表者 | 松尾俊彦
石金浩史 内田哲也 |
概要 | 【背景】岡山大学方式人工網膜(OUReP )は絶縁体のポリエチレン薄膜表面に光電変換色素分子を結合した世界初の新方式「光電変換色素薄膜型」人工網膜である。生物学的安全性評価試験で毒性はない。網膜色素変性 (RCS) ラットに植込み行動評価で視覚が改善し、網膜電図と視覚誘発電位が誘発されることを示した。塩化コバルト網膜下注入によって黄斑変性を作成したサル眼に 6 か月植込み視覚誘発電位が改善することも示した。岡山大インキュベータのクリーンルーム製造設備で品質管理体制( QMS )下、治験機器を製造している。 PMDA と重ねた面談の結果、非臨床有効性評価試験として摘出網膜組織を使った活動電位誘発試験が唯一の残された課題であるとの共通認識に到った。網膜変性 (rd 1) マウスから摘出した変性網膜組織で人工網膜が活動電位を誘発することを示したが、多電極シャーレ記録の技術的制約のため活動電位誘発率が試験網膜組織の 30 50% に留まることが難点であると PMDAより指摘された。今回、新たな方法として摘出網膜組織にタングステン電極を刺入し、長時間安定的に活動電位を記録する手技を報告する。
【方法と成績】3 8 週齢野生型マウス( C57B L/6J 眼球から網膜を摘出し緩衝液潅流中のボトムガラス上に人工網膜 OUReP を置き、その上に視細胞側を下に向けた摘出網膜組織を乗せ、濾紙を乗せて固定し、更にメッシュ付きプラチナアンカーを乗せた。濾紙中央の窓からタングステン電極を内境界膜を突き破って網膜組織に刺入し、活動電位を音声化して刺入深度を決めた。電極周囲の複数の神経細胞の活動電位( multiunit activity )を記録した。視細胞と on 型網膜双極細胞とのシナプス伝達を遮断する L-AP4 を 20 分潅流後、対照薄膜として光電変換色素を未結合のポ リエチレン薄膜上に網膜組織を乗せた条件では、活動電位記録において光刺激に対する on 型応答が誘発されないことを事前実験で確認した。本実験として L-AP4 を 20 分潅流後、人工網膜 OUReP 上の網膜組織では、活動電位記録において光刺激に対する on 型応答の誘発が観察できた。 【結論】人工網膜OUReP 治験に向けた非臨床有効性評価試験としてタングステン電極による摘出網膜組織の活動電位記録方法を確立した。 |