イナガキ ユウイチ   INAGAKI Yuichi
  稲垣 悠一
   所属   専修大学専門職大学院  法務研究科
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2015/07
形態種別 速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)
標題 公物管理における不作為的過失責任と注意義務の判定手法
執筆形態 単著
掲載誌名 専修法学論集
掲載区分国内
巻・号・頁 (124),191-208頁
概要 大蔵海岸人工砂浜陥没事件の第2次上告審決定では、砂浜を管理していた担当者の注意義務を導くにあたり、いわゆる「段階的思考」、あるいは「組織関係的観察方法」が採用されている。これは、組織体の中の個人の注意義務を導くにあたって特徴的な手法であるが、過失犯の理論との関連性は、十分に解明されているとはいえない。
そこで本論文では、上記決定の判断プロセスを分析し、近時の裁判例との比較をした上で、上記手法と過失犯の理論との理論的な関連を示した。私見は、過失犯では、1結果の発生を前提として、その起因・因果の機序の確定し、2危険回避が可能であり、予見可能性が認められる危険状況下において、3過大とならない限度で結果回避措置(基準行為)を確定し、それを行為者に要求できるかどうかを問題にすべきと考えているが、本件のような組織関係的観察方法は、3の結果回避措置の客観的確定手法の1つとして採用されたものと評価しうる。