ヤマシタ リュウイチ
  山下 竜一
   所属   専修大学  法学部
   専修大学大学院  法学研究科
   職種   教授
研究期間 2003~2005
研究課題 生態学的知見を基礎とした地域資源の総合的管理システムの研究
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(B)
科研費研究課題番号 15402014
研究者・共同研究者 畠山 武道,山下 龍一,福士 明,交告 尚史,土屋 俊幸,柿澤 宏昭,広田 純一
概要 先進諸外国の自然資源管理について、地域資源の管理に必要な権限の分権化の態様、分権的体制のもとでの協働関係に力点をおいて、調査を実施した。その結果、以下の知見を得ることができた。 まず、ドイツ・ハンブルグ市では、持続的発展実現のための環境基本計画が作成され、郊外地の開発抑制、大規模なグリーンベルト建設、廃棄物管理、都市中心の再開発などが着実に進行しつつあり、ハノーバー市では、行政・大学・コンサルタントが協働で緻密な景観計画を作成しているが、住民の参加への関心を高める方策がとくに必要であることを認識した。 オーストラリアでは、州の独立性が強いが、連邦政府が、州との協定・補助金などの手法で州の政策に関与し、一定程度の成果をあげている。しかし1999年に制定された生物多様性・環境保護法は、既存の自然保護関連法の一部を統合したにすぎないこと、農業・林業政策には別途の政策手段が用いられるなど、適用範囲が限られていることなどの問題が指摘された。 フランスでは、ヴォージュ県西部のヴィッテルを調査し、飲料会社が地下水保全にために広域的な対策に資金を投じており、とりわけ近自然的な農林業の維持のための農家との契約、農林地の買取などがなされている実情を把握した。 ニュージーランドでは、資源管理法の執行を全面的に地方自治体に委ねたため、小規模自治体では、法律の執行に必要な人的・財政的資源が不足し、大きな混乱が生じた。そのため、環境省は自治体に対する支援・指導体制を強化し、中央政府が基準策定などについて積極的に活動できるように資源管理法を改正した。タラナキ地域では、指導普及を資源管理の中心的な手段として位置づけており、河畔林の復元、砂丘植生の回復に取り組んでいる事例を調査したが、同時に罰則などの手法を併用することが重要であるとの知見を得た。