ヤマシタ シュウヘイ
  山下 修平
   所属   専修大学  商学部
   職種   教授
研究期間 2019/04~2024/03
研究課題 「戦時期日本における会計実務の植民地への展開に関する研究」
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究機関 国士舘大学
代表分担区分 研究代表者
研究者・共同研究者 研究代表者:山下修平 研究分担者:荒井弘毅・本間正人
概要 本研究は、戦時期における、王子製紙工場決算報告書と、王子製紙の傍系会社である在外製紙会社の決算報告書との比較分析により、会計実務の植民地への展開を明らかにすることを目標としている。 一次史料となる決算報告書は、「紙の博物館」において所蔵されている。2019年度から2020年度にかけては、①「減価償却実務を明らかにすること」②「勘定科目の標準化の過程を明らかにすること」を重点に置き、史料の収集や分析を中心に研究を進めた。 ①の減価償却の実務の変遷については、会社固定資産償却規則の制定が実務にどのように影響を与えたのかを考察した。会社固定資産償却規則については、実務家を対象とした東京商工会議所における講演録を用いて、立法当局の方針と、実務家側の受け止め方を明らかにした。また、決算報告書に掲載されている固定資産の勘定明細に着目し、建物の項目における数値の減価の推移から、減価償却の運用状況を推測した。とくに、満洲における王子製紙の傍系会社3社の決算報告書からは、3社の特徴と差異を浮き彫りにすることができた。これらの研究成果の一部を、論文、学会報告の形にまとめることができた。 ②の勘定科目の標準化については、決算報告書に掲載されている総勘定元帳残高表を用いて、その変遷をたどった。これまでの史料収集により、戦時期における王子製紙工場と、満洲に存在していた王子製紙の傍系会社の決算報告書を事例とした。王子製紙工場において1941年上期に決算報告書の勘定科目名に標準化が進む痕跡が確認された。その半年後に、同様の変化が、満洲の傍系会社3社においても確認することができた。日本本土における王子製紙の実務が、半年を経て満洲に展開したことになる。1940年に制定された会社経理統制令の影響があったものと推察される。これらの研究成果の一部を、2020年度には論文としてまとめることができた。
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K02018