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クドウ ユミ
工藤 由美 所属 専修大学 国際コミュニケーション学部 職種 講師 |
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| 研究期間 | 2020/04~2024/03 |
| 研究課題 | チリのマプーチェ先住民組織における民族医療に関する文化人類学的研究 |
| 実施形態 | 科学研究費補助金 |
| 研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
| 研究種目名 | 若手研究 |
| 研究機関 | 国立民族学博物館 |
| 代表分担区分 | 研究代表者 |
| 研究者・共同研究者 | 工藤 由美 |
| 概要 | 本研究は、チリで1996年に始った先住民保健特別プログラムによって提供されてきた民族(マプーチェ)医療の成功を、医療的・社会的側面から明らかにしようとするものである。開始当初は「受診患者の7割は先住民」とされていたが、その後先住民患者以上にチリ人患者が増加し2012年にはチリ人患者が8割を超え、以来高水準が続いている。 他方、マプーチェの故地チリ南部の土地返還要求運動が2000年代以降過激化してきており、この土地返還運動をめぐる暴力的衝突の報道はチリ社会の対マプーチェ観にも影響を与えている。 昨年度に続き、今年度も新型コロナウィルス感染症の蔓延で現地調査が実施できず、現地協力者との情報交換による当地の状況の追跡、新規に入手した文献の検討、既得の調査資料の再検討を継続した。その結果、以下3点が明らかとなった。第1は、民族医療を公的な医療制度の枠内に取り込むに当たっての政府側の目論見である。チリの先住民研究、政治学領域の論文の検討が示すのは、民族医療の制度内への取り込みがはじめからチリ国民全体への適用を意図していたことである[Figueroa 2020他]。第2は、首都の先住民組織の土地取得のあり方である。2000年以降、首都圏の先住民組織活動が活発化し、組織活動を名目とした土地取得も急増した。歴史学、地域研究領域の論文によると、首都における先住民組織の土地獲得プロセスは、19世紀後半、「平定」の名の下にチリ国家がマプーチェ領土を奪った構図と相似で[Caulkins 2018他]、一定の土地を「無主の地」とみなすことから発している。第3は「通文化医療」という理念の現場での実践についての既得調査資料の再検討である。そこでは相互のレスペート(respeto:敬意)を理由に「踏み込まない」態度が一貫していた。これら3点の知見は今後の国家先住民関係の展開を考える上での重要な素材である。 |
| PermalinkURL | https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K13296 |